子どもたちのために! 5
今北さんともう一度勉強したい、という子たちであったが、その子たちの弟や妹、それに、Dクラスの子たちがロコミで集めてくれた生徒たちで、塾生は十数人になった。
しかし、それでも親子三人が生活できるまでにはいたらなかった。
塾生の父母はそのことを知っていて、お米や野菜、卵などを差し入れてくれたり、中華ソバ屋の主人が無料の出前をしてくれたりした。
以前、板前の見習いをしていた店の主人は、たびたび電話をかけてきては、「ちょっと来ないか」と今北さん親子をよびつけた。
腹一杯食べさせようとしてのことだった。
こうした人の情に、妻は赤子を抱きながら、今北さんははしを持ったまま、湯気の立つなべやどんぶりをまえにして、何度も泣いた。
塾生やその親たちは、一人、また一人と生徒を引っぱってきてくれた。
やがて、そのなかの一人の親から、「わたしの親戚のところが空いてるからいらっしゃい」と、むりやり塾の教室を移させられた。
場所は市の中央であったが、家賃は相場の半額以下であった。
以前いた塾の生徒達に助けられるなんて、人生は何があるかわかりませんね。